今日は心筋梗塞の世界に旅をしましょう(^_^)/
【急性心筋梗塞】
・心臓に酸素と栄養を供給している冠動脈の一部分が完全に詰まった状態になることによって、その先に血液がまったく行かなくなり、心筋の細胞が壊死してしまう状態を言う。(長山、2009)
※冠動脈とは、心臓の周囲にまとわりつくように走行している。臓器に栄養を与えるのに特化した血管として、栄養血管とも呼ばれる。
・急性心筋梗塞は、不安定狭心症、虚血による心臓突然死など包括する疾患概念である急性冠症候群(ACS)で、冠動脈が急速に狭窄(せまくなる)あるいは閉塞(詰まる)することにより心筋が虚血、壊死に陥る症候群。(病気が見える、2021)
狭心症もこの心筋が詰まってしまうことによって起こるけど、狭心症の場合は、酸素を運ぶ血液の量が足りないとはいえども、まだ血液は心筋の中を流れている。
心筋梗塞の場合は、血液の流れが完全にストップした状態だから、その先の細胞が死んでしまう。
なので、心筋梗塞の場合はかなり命の危険が伴う。
また、心筋梗塞は狭心症と同様に、激しい胸の痛みを伴うが、その痛みは狭心症とは比べものにならないくらいの強烈な痛みである。(多くの場合)
このように、狭心症と心筋梗塞は症状としてはまったく別のものだが、やはり、心筋梗塞にかかる人の半数は狭心症を過去に体験しているわけだから、狭心症と心筋梗塞は一本道でつながっている場合もある。
そう考えると、狭心症のうちにしっかりと治療をしておけば、心筋梗塞になる確率も低くなると考えていい。
なぜ、心筋梗塞は発症するのか
冠動脈の血管の壁に、プラーク(粥状じゅくじょう硬化集)ができている人がいるとする。
プラークとは、いわば、非常に柔らかい、まさにプヨプヨな状態の脂肪の小さな塊のようなもの。
それが、なにかのきっかけで壊れると、その傷口を修復するために形成された血液の塊(血栓)が急速に大きくなって、ついには血液を完全に封鎖してしまうために発症するのが心筋梗塞。
血管壁が壊れて、内容物が血管の内腔に出てくる。そうすると、火事を消し止める消防のように血小板が集まってくる。そして血液凝固因子が活性化されて赤血球が集まってくる。
言い換えれば、よく私たちが擦りむいた時に、最初、白いグジュグジュした液が出て、その後にかさぶたができる、あれと同じことが血管内に起きて、
それが血液の流れを止めてしまう。
では、なぜプラークが破壊されるのか。
冠動脈の攣縮(れんしゅく)や、交感神経の異常亢進(こうしん)による血圧の上昇や心拍数の増加などがその原因のひとつに挙げられる。
そして、血液が心筋に流れない状態が続くと、心臓の壁の一部が酸素や栄養分が補給されなくなったために、壊死してしまう。
この状態を心臓を動かしている筋肉への道が閉ざされた、つまり梗塞が起こった、という意味で、心筋梗塞と呼ぶ。
急性心筋梗塞の致死率は30〜40%といわれており、突然死(発症から24〜48時間以内)の中で最も多い(心筋梗塞・狭心症50〜60%)。
急性心筋梗塞を発症すると、胸痛の後に心停止を起こす。胸痛から心停止までの時間は、1時間以内が約86%(うち瞬間死25%)であり、「発症から1時間以内に適切な処置を行い専門病院に搬送されること」が重要となる。(日本循環器学会)
このように、かなり危険な病気であることが分かる。
心筋梗塞は、命を取り留めたとしても、患者さんのその後の生活を考えると、恐ろしい病気のひとつであることは間違いない。
実際、心筋梗塞で入院したあと、重篤な心不全になり、それまでの仕事を辞めなければいけなくなった人たちもたくさんいる。簡単には、社会復帰ができない。
特に怖いのは、それまでの健康診断でも、健康で、何も問題なかった人にも、心筋梗塞は起こることがあること。
働き盛りの、強度のストレスを抱えている人は、本当に気をつけてほしい。
今健康な人でも、いつ、心筋梗塞になるか分からない。
心筋梗塞は、人間の命を奪うだけでなく、たとえ、命は助かっても、社会的生命を失わせる結果にもつながりかねない。
心筋梗塞が怖いのは、合併症を起こすことで、死に至る可能性が高いことである。
その代表が不整脈で、心筋に流れなくなったことによって、心室細動(血液を拍出できない状態、心停止状態)が起こり、死に至るケースもある。
また、急性心不全もかなりの確率で起こる可能性がある。
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★読み疲れていないか気になりますが、ここからが皆さんに覚えておいてほしい大事なことを話します。
[心筋梗塞になりやすい人]
1、ふだんから血圧が高い人
2、コレステロール値の高い人(脂質異常症)
3、タバコをよく吸う人
4、糖尿病の人
5、肥満体の人
6、尿酸値の高い人
7、血縁に心臓病の人、あるいは心臓病で亡くなった人がいる人
8、ストレスがかかる仕事をしている人
9、運動不足の人
10、何事もきちんとやらないと気がすまない几帳面な人
(私は3、7、8、10に該当した)
これらはすべて心筋梗塞になりやすい危険因子を持っている人たちです。
★心筋梗塞の予防法★
1、太り過ぎない
心筋梗塞は、人間ドックでも分かりません。人間ドックに行って良好と言われた3日後に心筋梗塞で亡くなった人もいます。ダイエットしましょう。
2、禁煙
喫煙は、心筋梗塞の引き金になりかねません。タバコ一本で命を落としたり、その後、重篤な心不全に悩まされ続けることを考えたら、タバコを吸っている人は、今すぐにでも禁煙しましょう。
3、糖尿病
糖尿病は心筋梗塞の大きな危険因子です。全身の血管の動脈硬化をどんどん進めてしまいます。
4、ストレスの発散
現代社会はストレス社会でもあります。特に、責任感の強い人ほど、ストレスを感じながら、物事に没頭しがちです。そうなると、急性心筋梗塞が起こる可能性が強まります。
ストレスのない社会などないし、ストレスのない生活ほどつまらない生活はないとも言いますが、ストレスと上手に付き合うコツを身につけることが大切です。
趣味や娯楽を楽しむ余裕を常に持ちましょう。
5、適度な運動
心筋梗塞にかかる人の多くが運動不足。運動の効果は意外と短期間で実感できます。思い立ったが吉日ウォーキングから始めてみましょう。(今日より若い日はない❤️)
6、バランスの良い食事
なるべく脂肪分を減らし、野菜を多くとるよう心がけましょう。バランスの良い食事は、生活習慣病を予防するためにとても大切なことです。
血液をサラサラにするワインや青魚がいいと言われています。
7、上手な入浴
心筋梗塞は、意外に浴室で起こります。熱すぎるお湯は血圧の過度の上昇や不整脈の原因になります。湯温は40〜41度、10分以内の入浴が適当とされています。
また、入浴中には知らないうちに汗をかき、脱水によって血栓ができやすくなることも分かっています。そのために浴室にいるときや入浴後に倒れる人が多いのです。
寒い脱衣所もいけません。心筋梗塞のために、タイマー付きのヒーターで脱衣所を前もって温めておくことをおすすめします。
※心室細動について
最初に断言しておきますが、不整脈の中で1番恐ろしいのが、この心室細動です。
心室細動が起こると、数秒のうちに意識がなくなるし、酸素が脳にいかなくなり、けいれんし、まもなく瞳孔が開く。つまり、亡くなってしまう。
それほど、恐ろしい不整脈だと覚えておいてください。
(長山、20009)
かなり長くなってしまいました\(^o^)/
もっと記載したかったのですが、皆さんに「これだけは覚えておいてほしい」という2点を強調して、今日の心臓についてのお話は一旦完結しようと思います。
1、心筋梗塞になりやすい人
2、心筋梗塞の予防法
この2点については、ぜひ、自分や大切な人たちを思い出し、当てはまるか想像してみてください。
また、ご高齢の親や持病がある人には言葉をかけて、気にかけているという愛情を伝えていただけたらと思います。
私の親の場合は、父は毎日、生活習慣病予防のため、電動自転車をこいでいるそうです。
私「優秀なおじいちゃんじゃないか!いいぞいいぞー。引き続きこぎまくってねー。」
と伝えています。
母は、何十年もタバコを吸っています。病院に行けと言っても行きません。なぜかというと、「病院に言ったら病気が見つかるから」だそうです。
そんな母、デイサービスで看護師をやっていて、おじぃおばぁたちから大人気。今日も豪快な笑い声をおばぁたちに届けていることでしょう。


皆さんや、皆さんの大切な人たちの健康と元気を願い、心筋梗塞の世界の旅を終わります。
では、またあした(*^_^*)
〈参考・引用文献〉
・「心臓が危ない」長山雅俊(心臓専門医) 著、祥伝社新書 2009
・「イメカラ(イメージするカラダのしくみ)循環器 第1版」医療情報科学研究所 西田 他著、㈱メディックメディア 2010
・「病気が見える vol2 循環器 第5版」医療情報科学研究所 監修 鶴田ひかる他 ㈱メディックメディア 2021
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